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パリのグラン・パレで毎年開かれるサロン・ドートンヌは、1929年、ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアンが<Equipement interieur d’une habitation(住宅のインテリア設備)>を発表した記念すべき展示会でした。今でこそカッシーナが製造販売を行っているアイコン的な金属製チューブの家具ではありますが、当時3 人が初めて公の場に装飾的要素を排除したミニマリストなこの作品を発表した際には、その奇抜なスタイルゆえ多くの物議をかもしました。
1964年、ル・コルビュジエと共作者らが存命の頃、カッシーナはル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアンによる4つのモデルの復刻生産を始める契約を結びました。これがカッシーナのイ・マエストリコレクションの始まりです。 これにより、ル・コルビュジエはイタリア企業の工業技術に対する国際的な高い評価を示しました。カッシーナは、当時は珍しかったこれらの革新的なアイテムを生産するという挑戦をすぐに受け入れ、長年にわたって一連の技術革新を導入し、小規模の手工業生産から工業生産のプロセスにまで進歩させました。 こうして、ミラノ郊外のメダで生産されたこれらのコレクションが、今日世界中でアイコンとして親しまれているのです。
カッシーナは、ル・コルビュジエ財団及び共作者の意匠継承者と密接に協力し、ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアンによるデザインの製造を認められた唯一の企業です。 製造当初から、芸術的価値を認識しオリジナルの作品を確実に管理するため製造番号が刻印されています。 今日、革新と品質を維持するため、模倣品と戦い、デザインの文化を重要な歴史的および文化的遺産として保護することは非常に重要なことです。 カッシーナの取り組みは、模倣品がまねできないほど高いレベルで革新と文化的イニシアチブをもってル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアンコレクションを積極的に開発することです。
ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアンコレクションは、発表以来さまざまな進化を遂げています。ル・コルビュジエ財団及び共作者の意匠継承者との密接かつ継続的な協力関係のおかげでコレクションは拡大を続け、時代のニーズに呼応しながら、モダニティを代表する家具の完全なコレクションを提供しています。 スティールパイプを用いた家具の最初のモデルは、今日私たちの多くがイメージする黒革とクロムめっきフレームの組み合わせではありませんでした。(おそらく白黒写真のせいでそう思い込んだのでしょう)個人邸などのプロジェクト毎に特徴的な色使いがなされていたのです。 ヴィラ・チャーチなどいくつかのル・コルビュジエのプロジェクトのインテリアは、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアンとともにデザインし、様々な家具の細部や特徴を空間に合わせて調整していました。今日のカッシーナにとっても重要な要素である、この建築、インテリア、家具の関係は、特に色や構成のディテールにおいて標準とは異なる使い方が見てとれます。
ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアンは、環境の重要性を特に意識しており、彼らの作品において自然はしばしば中心的なテーマでした。彼らは、建築と都市主義における自然と人類のつながりを回復するという使命を共有していました。
ー 私の子供時代は、自然の中でクラスメイトと過ごしました。(中略)花の隅々まで、鳥の形や色、木がどのように成長するか、嵐の中でどのように平衡を保っているかを知りました。人類の友人である木は、すべての有機的創造物の象徴、すなわちすべての構造物の象徴なのです。ー
カッシーナは継続的なイノベーションの一環として、ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアンのコレクションをアップグレードし続け、2015年にはクロムめっきフレームの製造から廃棄に至るプロセスを全面的に見直しを行いました。 これまで家具業界で腐食防止や外観の美しさを目的に使用されてきた六価クロムは、自動車業界が予測していたように、時代遅れとなりつつあります。六価クロムめっきに用いられる薬品は有害廃棄物を発生させ、製造工程において吸入すると発がん性を示す可能性があるためです。 一方で、三価クロムめっきはクロム濃度が低く、排出される大気汚染物質も少ないため、結果として有害廃棄物を抑えることができます。より安全で毒性の少ないこの代替技術こそが、カッシーナが製品フレームに三価クロムめっきプロセスのみを採用するという誠実な決断に至った理由です。サステイナブルな素材に関する取り組みと革新は、これからも継続してまいります。
