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Hamee小田原オフィス

神奈川県小田原市(2021)
設計監理:子浦中/シオ建築設計事務所

私たちは、これまで毎朝会社に向かい、机の並んだオフィスで働くというワークスタイルでした。毎日同僚に会い、時には無駄話をしながら仕事をしてきました。しかし、パンデミックが私たちの生活を一転させ、働き方も大きく変化しました。この流れの中で、Hameeも働き方が大きく変化した会社の一つです。パンデミック以降、リモートワークで社員の減ったオフィスは、所狭しと並んだ机や椅子、PCがあるだけの寂しい場所となりました。しかしHameeは、顔を合わせてコミュニケーションすることが大切と考えている会社であるため、出社したくなる、コミュニケーションが活発になる、パンデミック以降を意識したオフィスづくりが必要と感じ、今回の改修計画がスタートしました。

この計画は、オフィスの1Fエントランスホールと2F執務エリアの改修です。
エントランスのある1Fは、『Harbor Park』というコンセプトでしたが、暗くて活用出来ていない倉庫のようでした。ここは待合でもあり、会議室待ちのスタッフたちがタムロする姿が目につきました。またスタッフがweb会議のために会議室を長時間使用することで、慢性的な会議室不足に陥っていました。これらを解消するため、1Fは会議だけでなく、待ち時間にも仕事ができ、家具配置を変えることでイベント等を行うこともできる場所とし、さらにHameeが港町小田原の会社であることをアピールするような、お出迎感のあるデザインとしました。大きな吹抜のある2Fは、『Urban Park』と名付けられていました。固定席を減らしフリーアドレスとする、ゆとりを取る、web会議エリアを作る、Hameeをアピールできる場所にすることが目的でした。我々は本来の『Urban Park』の姿を取り戻すため、吹抜に人が集う憩いの場、ゲストがあっと驚く場所にするために大きな木を入れました。大きな木の下ではみんなが上を向き、木の下の階段を延長した大きなベンチやキッチンには人が集う。そこでは自然とコミュニケーションが発生する。また、これまで床仕上げと天井高の違いで区切られていた境界を壊すために、吹抜が延長していくように、遊具のような机やベンチを設置しました。これらもコミュニケーションをしやすくするための仕掛けです。

また、パンデミックでweb会議が頻繁に行われるようになりましたが、その際、周りの目線や自分の声、そして自分の背景が気になります。それらを解消するため、我々は一枚の布のような『Wrap Screen』を考えました。これは一枚900mmのScreenをつないでいくことで、どこまでも長くすることができます。これで丸を描くように自分を包み込むとweb会議ブースとなり、何枚かつなげることで複数人でも使えるようになります。集中ブースや簡単な会議スペースとしても使うことができ、会議室不足の解消にも一役買うことができました。 パンデミックのなかで先を見据えた本計画は、新しいオフィスとの関わり方を模索しながら進められました。リモートワークを取り入れる会社が増える中で、オフィスが存在する意味を考える計画でした。


(子浦中/シオ建築設計事務所)

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