WEB MAGAZINE2021.4

Overnight stay
at hotel azabu ten
(後編) Reporting by Noriko Kanzaki

住宅、オフィス、商業施設、文化施設……さまざまなシーンで選ばれているカッシーナ・イクスシーのプロダクツ&デザイン。

2019年5月、東京・麻布十番にオープンした、コンパクト・ラグジュアリーホテル「hotel azabu ten」では、カッシーナ・イクスシーが客室全9部屋とフロント、ホテルのダイニング「totanuki」のデザインプロデュースを担当しました。

都会の隠れ家──そんな形容がぴったりハマるホテルの設えと居心地をレポートします。

#2

Free Flow
非日常に“住まう” というステイ感覚

都会の真ん中にあるhotel azabu tenは、そのエントランスに足を踏み入れた瞬間から、非日常へとゲストを連れて行ってくれます。大理石のアプローチを通りレセプションで最初に迎えてくれるのが、ゴールドのアクセントウォール。放射状に貼り合わされたストロー素材が光を受けて放つ輝きは、「Welcome!」と、まるで祝福のシャワーを浴びているかのよう。これからの滞在に期待がふくらみます。

さて、案内された部屋は402-Kanro。寒露は、深まりゆく秋の頃の二十四節気です。イメージカラーはへーゼルナッツベージュ。テーブルライトやウォールランプでカッパーを入れ、ベージュからオレンジへと移り変わる温かなカラーグラデーションを生み出しています。

ゆったりとしたリビングルームを設えたKanroで特筆すべきは、自然光が眩いバスルーム。窓側にレイアウトされたバスタブと洗面台、シャワールームが締めるその広さは、客室の1/3という大胆な設計です。セミダブルのベッドが台並ぶ寝室とほぼ同じスペース。夜はゆっくりとライトを落として半身浴したり、朝風呂で熱めのお湯に浸かって身体をシャキッと目覚めさせたり。日常では味わうことのできないバスタイムが楽しめます。

お風呂から上がって、リビングのソファUTRECHT(ユトレヒト)に体を預け、お気に入りの本に目を落としながら寛いでいると、なんだかバスタイムの非日常感とは打って変わって、穏やかな日常の一コマに戻ったような心持ちになりました。上質なマテリアルを多用した落ち着いた空間や、そこに居る人(住まう人)が主役となるインテリアデザインが、そんな気持ちにさせてくれるのかもしれません。

日常から非日常へ、非日常から日常へ。

はっきりとした境界線などのない “淡い” の世界を行ったり来たり、自由にたゆたう心地よさ。

「意識と無意識が繋がると、心と身体が整う」

あるドクターから聞いたそんな言葉を思い出しながら、非日常を求めるだけでは味わうことのできない、
新しい感覚のホテルステイを見つけました。

#3

No borders
エッジから生まれる食の可能性

hotel azabu ten のダイニングは、オープンキッチンを囲むように、オレンジオニキスのカウンターがL 字型にレイアウトされています。その直線に対してダイニングチェアには、優美に曲線を描くCECCOTTI COLLEZIONI(チェコッティ・コレツィオーニ)のCHUMBERA SEGUNDA(チュンベラ セグンダ)をセレクト。カーペットは特注で、コンパクト・ラグジュアリーという形容詞にふさわしい空間を作り出しています。上品だけれど気取りすぎず、パートナーと笑みをかわしながら美味しい食事がいただける、そんな雰囲気に居心地の良さを感じます。

八寸:見目麗しいフレンチと和の融合。写真右上からウニとカリフラワーのポタージュ、鴨のロースト、パンドカンパーニュと卵のタルト、ひよこ豆のコロッケ、ピラサディエール、スモークサーモンとイクラ、フォアグラの西京味噌漬け最中、ムール貝にたっぷり野菜ドレッシングを添えて、初ものの焼きそら豆、インカのめざめトリュフボール

焼き物:山形牛ヒレ肉の網焼き、エシャロットソースとワサビ醤油を添えて

お楽しみのディナーは、フレンチと和食が調和したシェフのおまかせコース。海外からのゲストが多いホテルなので、オープン当初は和食をメインにしていたそうですが、連泊をするお客様のためにフレンチをプラスしていくうち、現在のような和と洋の“淡い” から生まれるメニューになったとのこと。

イベリコ豚の生ハムのアミューズからスタートし、和食の美を感じさせる八寸、旬の野菜を彩った温かい前菜、季節の天ぷら、口直し、山形牛のヒレ肉網焼きと続きます。圧巻なのは、締めの握り寿し。マグロ、サヨリ、ウニ、ヒラメ、アナゴ、赤貝、カツオなどがきれいに並んだネタ箱がカウンターに出され、好きなネタを目の前で和食担当の板前さんが握ってくれるのです。日本人にとっても粋でサプライズな演出は、ゲストへのホスピタリティの表れ。

和と洋が程よく融合し、それぞれの持ち味を引き出したコースは、もちろんワインや日本酒とのマリアージュも楽しめます。食後のデザートとコーヒーをいただき、お腹も心もご機嫌になったところであとは部屋に戻るだけ、というのがホテルダイニングの醍醐味でしょう。リビングで食後酒を嗜むのもよし、ベッドでゴロゴロするもよし、お風呂でゆっくりするもよし。ただただ至福のひと時が待っています。

プロフィール
神﨑典子 Noriko Kanzaki
東京生まれ。フリーランスの編集・ライターとして、人物インタビュー、旅、落語、料理、幼児教育などをテーマに雑誌・書籍・webで活動。某自動車メーカーのオーナーズマガジンにて、宿と食をテーマにした連載を12 年以上担当(現在も継続中)。
2008年、横須賀市秋谷へ移住。心の師匠である思想家で環境活動家のサティシュ・クマール師が提唱する「Soil、Soul、Society」を軸とした暮らしを実践中。
動植物と人との本来の共生をテーマにした一般社団法人EARTH BOOK 理事。https://www.earth-book.com
手がけた本に『春風亭一之輔のおもしろ落語入門』(小学館)、『家庭菜園でできる自然農法』(学研プラス)、『学びを支える保育環境 づくり』(小学館)などがある。

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