過去50年にわたる丹念なリサーチがカッシーナを巨匠建築家たちによる家具の工業生産化へと導き、複雑な文献研究を経てこれらのタイムレスなアイコンに現代的な解釈を与えていることを、この展覧会の構成は現代の視点から示しています。特に過去の基礎の上に進歩を築き、モダンでタイムレスというユニークなコンセプトを打ち出したカッシーナの進化を強調しています。

この記念すべき年に、20世紀の偉大な巨匠たちと、その歴史と深いつながりを持つ新たなデザイナーたちを結び付け、対話を続ける機会を得ました。2023年4月、ヴィコ・マジストレッティ、ジオ・ポンティ、カルロ・スカルパ、そして2024年の照明コレクションの発売を控えたチャールズ＆レイ・イームズがカッシーナのイ・マエストリコレクションに加わったのです。

「設立から50年、カッシーナ イ・マエストリコレクションは、デザイン史に名を残す新たな人物を加えさらに充実しました。この重要な進化は、カッシーナが未来を創造し発展させるために、過去を探求し、敬意を払い続けていることを強調しています。」
カッシーナ CEO ルカ・フーゾ

カッシーナの赤：
ブランドの本質の発見へと誘う

展示は、本の5つの章をイメージした5つのセクションに分かれており、常に赤い光が存在しています。カッシーナ・ブランドの特徴であるこの色は、パラッツォの大きな窓を染め、ヴィコ・マジストレッティの「Sindbad」アームチェアやシャルロット・ペリアンの「Banquette Méandre」など、道行く人々に展示の最初の作品を披露しました。このモデルは1937年から1940年のものをカッシーナが2012年に再構築し、フォンダシオン・ルイ・ヴィトンの「Le monde nouveau de Charlotte Perriand」展で展示したものです。

このエリアには、他にもへーリット・トーマス・リートフェルトの「Red and Blue」アームチェアを分解した大きな彫刻が展示されました。これは、カッシーナのアーカイブから独自の解釈を加えたもので、ジャンフランコ・パルディが1985年の広告キャンペーン「Interni d’Autore」で、象徴的作品の再解釈を、それを作ったアーティストとともに紹介しました。

入口を進むと映像が映し出され、「Echoes」の主人公である14人の巨匠の顔と名前が紹介される、没入感のある空間が広がっています。2フロアの構成で、地下1階のかつて銀行の金庫室だった場所からスタート。今回初めて一般公開されたこの隠れた魅惑的な場所で、来場者はカッシーナの比類なき手法の魂を体感しながら、カッシーナ イ・マエストリコレクションの大切なものを発見していくことになります。

巨匠たちのタイムレスなデザインとともに、イ・マエストリコレクションはカッシーナにとって重要な遺産です。会社の豊富なアーカイブから選ばれた3次元のプロトタイプや製品すべてと、この展覧会で初公開となった書籍に掲載予定の2次元の芸術的な写真とを相互に参照しながら、その理解を深めることができます。

「イ・マエストリ50周年はお祝いではなく、カッシーナの手法の革新性を表す一つの方法です。それがいかに最新で適切なものであるか、そして将来の指針を確立するための対話をどう始めるかを理解することができます。それは研究、実験、著作権、独創性の重要性を強調し、このプロセスが現代を超える価値を生む方法を示しています。持続可能な思考の一例です。」
カッシーナ　アートディレクター　パトリシア・ウルキオラ