WEB MAGAZINE2021.8

五感を刺激し創造性をもたらす
オフィス空間(前編)
丸紅株式会社様 新社屋プロジェクト

いまオフィスは大きく変わろうとしています。求められているのは、新たな価値や創造をもたらす非オフィス的な空間。2021年5月、東京・大手町に完成した丸紅株式会社(以下、丸紅)の新社屋において、9階から20階にわたる執務フロアの「Round」スペースの設計デザインとコーディネートをカッシーナ・イクスシーが担当。丸紅新社屋プロジェクト課の担当者にも話をお聞きしながら、デザイン性に富んだ新たなオフィス空間のあり方を前後編でレポートします。
※この取材は感染予防対策を徹底して行いました。

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皇居の豊かな緑を眼前に望む場所にある丸紅の新社屋。執務フロアに入ると中央には、従来のオフィスとは印象が異なる、デザイン性の高い「Round」スペースが広がっています。カラフルなソファやアイコニックなテーブル、窓辺には眺めを楽しめるラウンジチェアやソファまで......。一般的なオフィス家具ではないコーディネートはまるでラウンジのような、あるいはカフェのテラスのような。この空間の中にさまざまな心地よさが凝縮されているように感じられます。
このスペースには、「Morning Fresh」「Magic Hour」「Midnight Meditation」の3つの異なるデザインスタイルがあることにも驚かされます。それが12フロア内で交互に展開されているのです。

丸紅は新社屋を建てるにあたってタスクフォースを立ち上げ、既存オフィスの課題を抽出していきました。「当時はすべて固定席で、社員からは集中できる場所がほしいという声が多くあがっていました。総合商社である丸紅は部署で業務内容が大きく異なり、他部署との交流が少なかったため、部署を超えてもっと気軽にコミュニケーションできるオフィスにすることも課題でした」と新社屋プロジェクト課の大村さん。

抽出した課題をもとに、タスクフォースでコンセプトとしたのが、「コミュケーションを増やす」「エンゲージメントを高める」「効率よく働ける」という3つの軸。部署ごとに割り当てられた自由席の「Circle」、チームの情報共有を行う「Huddle」、新しい価値創造につなげる「Round」の3つの場をつくり、それらをつなぐことで知的生産性を高めるオフィスを目指し、全体コンセプトを「Chain」としました。

右から▶
丸紅株式会社/大村さん・中池さん
カッシーナ・イクスシー/営業担当浜崎

個性的な3つの
デザインスタイル

丸紅が「Round」に求めたのは、「五感を刺激し、気分を切り替えることができる場」「心を解放して課題に向き合い、アイデアを熟考する場」であること。そこでカッシーナ・イクスシーが提案したのが、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚のすべてからアプローチし、感覚・感情に訴えかける空間要素やコンテンツを盛り込んだ3つのデザインスタイルでした。

3つのデザインスタイルにはそれぞれテーマがあり、「緩和 × 発展させる」がテーマの「Morning Fresh」の空間は、有機的な配置の中に植物をふんだんに取り入れ、心が落ちつくアロマをさりげなく香らせて、自然の変化を感じられるように。「刺激 × 感受する」がテーマの「Magic Hour」は多彩な色や質感の素材をインテリアに用い、「対峙 × 整理する」の「Midnight Meditation」はシンメトリーの配置によって静寂さを表現し、冷たさや透明さを感じさせる素材で凛とした雰囲気を演出。これら3つを循環し、異なる空間体験によってさまざまな刺激とリラックスを得ることで、新たな価値や創造を生み出す提案でした。

「家具や床や壁の仕上げだけでなく、BGMやアロマなど幅広く提案していただいたので、新しい空間ができそうだと感じました」と大村さん。中池さんも、「非日常を感じさせるオフィスらしくない提案を見て、自分自身もこんな空間で働いてみたいなと思いましたね」と言います。

カッシーナ・イクスシーが提案した頃、丸紅は座席数を組織人数の7割にすることを決定しました。「それによって急きょ生まれたスペースをどう生かすかも考えなくてはいけませんでした。それが後に「Huddle」となるのですが、「Round」との連動も重要ですから、カッシーナ・イクスシーさんには全体の中での各エリアの位置づけも一緒に考えてもらい、エリア間を移動しやすいように動線やつながりを調整していきました。「Round」からは他のエリアを見通することができ、左右に動線が抜けているので開放感があります」と中池さん。


「Round」「Huddle」「Circle」を一直線に繋ぎ一体感を持たせた空間

新型コロナウイルス感染症の流行によって変更せざるを得ない部分もありました。当初は各フロアを回遊させ、新たなコミュニケーションを創出できればと考えていましたが、感染症対策の観点から回遊させることが難しいとの判断に。そこで、一つのフロア内でリラックスや刺激、集中といったさまざまな場所をつくり、大・中・小のコミュニケーションスペースを点在させた案へと調整していきました。

編集/ライター:植本 絵美
「Round」設計:カッシーナ・イクスシー (デザイン協力:ツクルバ)
(後編はこちらから)

丸紅株式会社 担当者様のご紹介


新社屋プロジェクト課 課長 中池拓さん

新社屋プロジェクト課 大村遥さん

コントラクト事業部 について

オフィス、商業・公共施設、教育・文化施設、ホスピタリティ等、様々なプロジェクトで家 具を含めたインテリアのご提案を行っています。専任のデザインチーム/プロジェクト担当 者にてワークスタイル相談からデザイン提案、プロジェクトマネジメントまで、オフィス環 境の向上をきめ細やかにサポートします。

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