WEB MAGAZINE2021.1

インテリアで叶える
Quality of Life 精神科医・産業医
濱田章裕 先生

2020年、誰もが未だかつて経験したことのないステイホーム期間を経て、家の中に対する意識が大きく変わりました。以前よりも家の中で過ごす時間が増え、毎日見て触れる家具やインテリアが与える影響の大きさを、多くの人が実感していることでしょう。

“Quality of Life(QOL)” とは、その人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念です。精神的な豊かさや満足度の指標は人それぞれ。自分のライフスタイルに合ったインテリアは、どう選べばいいのでしょうか。

アートと医学の関係性を研究する、精神科医であり企業の産業医も務める濱田章裕先生と、仕事や生活を楽しむ豊かな人生を実現するためのインテリアアドバイスを連載でお届けします。

- vol.3 - ニューノーマル時代のオフィスの在り方

昨春以降、急ピッチでテレワークの環境整備を行った企業も多いことでしょう。しかし実際のところテレワーク実施率はそれほど高くはなく、テレワークを導入している企業でも出社とテレワークの併用が多いようです。

「オン・オフの切り替え」、「コミュニケーションの希薄化」の問題はデジタルツールを使用しても補いきれないなど、オフィスに出社することのメリットが完全に消し去られることはありません。今回も、精神科医で企業の産業医も務める濱田章裕先生に、これからのオフィスの在り方について相談してみました。

#1

OFFICE SPACE

執務スペースにフリーアドレスのスタイルを採用している企業も増えました。ソーシャルディスタンスを保ちながら、効率よくそして快適に作業するポイントについて解説いただきます。

「デスクでは互い違いに着席すると向かい合わずに済み、さらにパーティションを併用することで感染予防が期待されます。同時に、視界が狭められることや正面に人がいないことにより自分の業務に集中することができます。」

例えば、あえてデスクの奥行きを狭めることで向かい合うことが無くなり、互い違いに着席できます。自由と多様性を表現した新しいデスクシステムRITMO CONNECT は、今後のオフィスの利用状況に応じて形や座席数を自由に調整できるという柔軟性もあり、まさにニューノーマルな働き方にふさわしいと言えます。そして、張地を選べるRITMO JOINT PANEL は吸音効果も高く、軽量で持ち運びも容易なためいつでも気軽に集中と共同作業の切り替えが可能です。

「パーティションの代わりにグリーンを卓上に置くと、VDT(visual display terminal) 作業に伴う視覚疲労が緩和するとも言われています。また、植物の世話をすることや触れることによりリラックス感(自律神経系の安定化)や集中力、活力が生み出されることはもちろん、精神的負荷(心理ストレス)の緩和や回復、身体的不調の軽減などがもたらされることも明らかになっています。」

自然や生命を感じられる環境を取り入れたバイオフィリアの考え方も今やオフィスデザインにおいて欠かせないテーマであり、グリーンを挟んで距離を確保するアイディアはぜひ取り入れたいところです。

「完全に分断されているわけではないので、周囲と適度にコミュニケーションをとることが可能です。また、仲間が努力する姿を目にすることで目標伝染が生じ、それが互いにとってモチベーションとなりひいてはチームの一体感にもつながるでしょう。」と、コミュニケーション面でもメリットがあることを指摘した濱田先生。テレワークでは得られないつながりが、帰属意識を高め社内コミュニケーションを強化します。

「様々なチェアを配置し、その時の気分や仕事内容によって使い分けてもいいかもしれません。ハイスツールやバランススツールなど背筋が伸びやすいチェアだと、視点の高さや思考、発言のしやすさなどから創造活動が促進されやすいと言われています。また、バランススツールは筋トレ(特に腸腰筋)にもなり、腰痛予防にもつながります。」

今回のアドバイスを取り入れたコーディネート例
#2

MEETING SPACE

生産性を上げるためにも、ミーティングはできるだけ短時間で効率的に進めたい。そんな永遠の課題を解決するような空間・インテリアはどういったものでしょうか。

「天井の高い部屋を選んだ方が自身の身体状態について『自由さ』や『束縛されていない』と感じる傾向にあり、より自由な発想が浮かびやすいとされています。家具についてはハイテーブルとハイスツールを配置することによりミーティングの長時間化を防ぎ、短時間で効率よく、なおかつ感染予防にも配慮した話し合いを行うことができるでしょう。また、先に述べたように、ハイテーブルやハイスツールを用いることは、創造性が促進されやすいというメリットもあります。」

長居しないよう、ミーティングスペースには背もたれのあるものよりシートのみのシンプルな造りがよさそうです。ワイヤーフレームにシートクッションを組み合わせたグラフィカルなデザインのKOBI STOOL などを用いて、視覚的な刺激で闊達な意見交換の場を作り出しましょう。また、濱田先生によると意外にも聴覚からの刺激も創造性に良い影響があるとのことです。

「適度な騒音がある状況下の方が、創造性が高まると言われています。これは、適度に騒がしい方が細かい情報に気に留めることが少なくなり、全体を捉えやすく、より抽象的な思考をするよう促されるからです。」

カッシーナ・イクスシーのオフィスでは、感染予防の換気目的でミーティングルームの扉を常に開放しておくことになっており、通りかかる人の話し声などが常に聞こえてきます。これが計らずも創造性を高める状況を作っていたとは驚きでした。

#3

REFRESH SPACE

かつては給湯室や自動販売機の前が休憩スペースでしたが、今は執務スペースの真ん中にキッチンを設け住宅のようなソファスペースを配置するなど、ウェルビーイングへの意識も高まっています。

「VDT(visual display terminal) 作業をする際には、作業時間60 分に対して休憩時間10 分の組み合わせが疲労感やストレスマネジメントの観点から最も適しているとされています。そして自席よりも休憩スペースを用いた方が、共用空間への移動という環境刺激および歩行という身体活動(特に階段の利用)によりリフレッシュ感を得やすく、知的生産性も向上すると言われています。」

3種類のピースの並べ方を変えて様々な形を作ることのできるTANGRAMソファのように、シート毎の方向を変えたり、背中合わせなど向き合わない角度で一つの共用空間を作り出すことのできる、ニューノーマル に適応したソファがこれからは求められていくのではないでしょうか。

「オフィス空間にグリーンを設置することは、コミュニケーション(雑談)を促す効果もあり、それに伴う意欲と活気の向上効果およびストレスの低減効果も高めるとされています。奥行きの深いテーブルや向かい合うソファの間に大きなローテーブルや観葉植物を配置することで、無理なくソーシャルディスタンスを確保することができるでしょう。」

同僚との雑談は、出社することの醍醐味の一つ。雑談から様々なアイディアが生まれた経験を、誰しもが持っているはずです。定期的に出社することによりテレワークで乱れがちだった生活リズムを取り戻し、円滑なコミュニケーションを図りチームで作業を行うなど、「オフィス」という場所にはテレワークで代替できないメリットがいくつもありました。感染症流行下ではもちろん正しい感染予防策を実施することを大前提として、どのような状況にも柔軟に対応できるニューノーマルなオフィスを活用し、仕事を含めた暮らし全体を自分らしくポジティブに楽しんでいきましょう。

今回のアドバイスを取り入れたコーディネート例

濱田先生からのメッセージ

新型コロナウイルス感染症によりテレワーク(在宅勤務)が広く普及しました。必要に駆られ最初は見よう見まねで始めてみたテレワークという働き方も、その人の職種や個性、仕事への取り組み方などにより、向き不向きがあることを少しずつ実感してきているのではないでしょうか。With コロナとなるこれからは、テレワークと出社勤務の双方のメリットを生かし、人々が働き方に少しでも快適性を求められるような世の中を目指したいものです。
ただ、いくらテレワークが普及したとしても、“出社” という行為自体は完全になくなってもらいたくないと思っています。それは、まずは、自身の体調維持のため。定期的に出社勤務を行うことは、在宅勤務で鈍ってしまった身体の運動不足の解消にも、夜型になりかけていた生活リズムの調節にも役立つからです。そして何より大切なこととして、出社することでよりリアルな社会や人との接点を持ち続けることがストレス解消にも繋がるのだと思うのです。誰かに必要とされていると思えること、誰かのために役立とうとすることは自らの存在を肯定し、明日を生きる活力をもたらしてくれます。
コロナ禍は、オフィスで働くのが当たり前だった日常を振り返る機会になると同時に、オフィスにいることで得られたものを再確認することにもなりました。在宅でもオフィスでも、より快適で働きやすい環境を都度工夫しながら、豊かな気持ちで過ごしていきましょう。

#プロフィール
濱田章裕 Akihiro Hamada
精神科医、産業医、クリエイティブ・カウンセラー。
病院にて精神科臨床に携わりつつ、都内の大手企業にて専属産業医として、働く人の心と身体の病の予防に医学的なアプローチで積極的に関わる。クリエイターやアーティストの生活習慣や発想のプロセスに着目し、よりよい状態で創作活動を続けられるよう支援する活動「六本木未来大学クリエイティブ・カウンセリングルーム」も連載中。
CYPAR メディカルアドヴァイザー。
東京代官山ロータリークラブ所属。

今回ご紹介した商品


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RITMO CONNECT

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RITMO JOINT PANEL

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UP IS1

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KOBI STOOL

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TANGRAM IS5