WEB MAGAZINE2020.11

インテリアで叶える
Quality of Life 精神科医・産業医
濱田章裕 先生

2020年、誰もが未だかつて経験したことのないステイホーム期間を経て、家の中に対する意識が大きく変わりました。以前よりも家の中で過ごす時間が増え、毎日見て触れる家具やインテリアが与える影響の大きさを、多くの人が実感していることでしょう。

“Quality of Life(QOL)” とは、その人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念です。精神的な豊かさや満足度の指標は人それぞれ。自分のライフスタイルに合ったインテリアは、どう選べばいいのでしょうか。

アートと医学の関係性を研究する、精神科医であり企業の産業医も務める濱田章裕先生と、仕事や生活を楽しむ豊かな人生を実現するためのインテリアアドバイスを連載でお届けします。

- vol.1 - インテリアで切り替える
仕事モード・リラックスモード(前編)

オフィス勤務の人々から、突如「仕事」が家に入り込んできて場所を整えるのに困ったという話や、通勤時間が無くなったことでオン・オフの境目があいまいになり気分がすっきりしない、という悩みが多く聞こえてきました。

住宅用もオフィス用も様々な家具、インテリアを長く取り扱ってきたカッシーナ・イクスシーですが、精神面からもサポートできるインテリアコーディネートを提案すべく、精神科医であり産業医の濱田章裕先生に、自宅の中のワークスペースの作り方について医学的な見地からアドバイスを伺いました。

#1

DESK

そもそも、家の中で仕事をするのに適した場所、選ぶべき素材などはあるのでしょうか。

「まず、窓際付近に木製天板のデスクを置いて作業をしましょう。窓際では日光を浴びることができ、それによりメラトニンという睡眠と起床の時刻の統制を行っているホルモンの分泌が抑えられ、体内時計や生体リズムがより整えられます。そして、木の天板に触ることにより、脳前頭前野活動の鎮静化、副交感神経活動の亢進、交感神経活動の抑制がもたらされ、リラックス効果を生むとされています。」

例えば、オーク材でできたカッシーナのVENTAGLIO テーブルは、広いところと狭いところ、2種類の作業スペースがあり、角度によって視界が変わることで気分転換にもつながります。家ではダイニングテーブルで仕事をする人も多いようですが、家族が隣で違うことをしていても気にせずテーブルを共有できるというメリットがあります。カラクターの1595 CONSOLE TABLEは、奥行きは小さめですが十分な幅があります。コンソールにもなるデザインなので、テレワークをしていない時にはふつうのインテリアアイテムとして空間に溶け込むところが魅力です。

「集中力を要する作業や単調作業を行う際には極力物を置かないこと。一方、創造性を用いる作業には資料の山など煩雑な方がヒントを見つけやすい、と言われています。」と、濱田先生。企業にとってテレワークとは生産性を上げることも目的の一つなので、ただ単に家具を整えるだけではなく、作業によってデスク上の環境を変えるという意識も有効かもしれません。

#2

CHAIR

デスクが決まったら、次はチェア。長時間座りつづけることは身体に負担がかかるため、できるだけ座り心地のいいチェ アを選びたいものです。

「椅子に関しては、人間工学に基づいたいわゆる“オフィスチェア” もいいですが、せっかくのお気に入りの住空間が少し無機質で味気なくなってしまうこともあります。だから、デザイン要素と機能要素を7対3とか5対5とか、適度なバランスでお気に入りの椅子を選ぶことをお勧めします。また、手触りの温冷感、柔らかさ、フィット感は座り心地とも相関性が高いと言われているため、これらの項目を重視して探すといいでしょう。」

LC7 やフレームが木製のINDOCHINE は、背もたれとアームが腰回りを支えるしっかりとした座り心地で、座面が回転するためクルクルと視界を変えることがまた気分転換にもつながりやすいと言えます。一方で、座りっぱなしが寿命を縮めるという説もありますが、具体的に何を意識したらよいのでしょうか。

「仕事はメリハリをつけて、ある一定の時間集中したら立ち上がり、5 ~ 10 分休み、軽い運動や水分補給を行うなど気分転換をこまめに行いましょう。このことは深部静脈血栓症や肺塞栓症(エコノミークラス症候群)の予防にも つながります。」

#3

PARTITION / GREEN / LIGHT / FRAGRANCE

部屋の数が限られる、家族もテレワーク中、小さなお子様がいるなど、集中できない環境の人も多いことでしょう。

「競走馬のブリンカー(遮眼革)のように、パーティションで視界を狭め余計な情報を遮断し、意図的に集中できる空間を整える必要があるかもしれません。パーティションは木製のものを選ぶとより良い効果が得られるでしょう。木質内装の空間は、疲労回復と日中の眠気減少・集中力向上を介して、単純な計算(思考作業)や創造作業に向いているとも言われているからです。」

パーティションを置けない場合は、天井の低い部屋を選んだり、壁向きに机をおいて取り組む、代わりにグリーンを置いてみる、といった工夫も有効なようです。

「できるだけ近い位置に観葉植物を置き、鑑賞するだけでなくたまに触れましょう。そうすることで緊張や不安、抑うつ、落ち込み、といった感情が抑えられると言われています。」

家具のような大きなアイテム以外にも、グリーンのようなちょっとしたインテリアアイテムで ワークプレイスづくりにおすすめのものはあるのでしょうか。

「卓上には、照明を。できれば目に直接入るものではなく、調光・調色機能がついたものがいいですね。その他、ヒノキの香りやミントの香りを用いることでリラックス効果を生み出し集中力が高まるとも言われています。」

明るさを調節できる調光機能がついたものはよくありますが、光の色(色温度)を変えられるタイプは、そう多くはありません。FLOS のKELVIN EDGE は、調光・調色の両機能がついたモダンなデスクライト。時間の経過に合わせて青みがかった光からオレンジの温かみのある光へと調節していくのがベストと言われています。Baobab のFeathers Touareg はミント・ジャスミン・ムスクのフレッシュな香りで、コバルトブルーがポイントのセラミックボトルが目にもさわやかです。

今回のアドバイスを取り入れたコーディネート例
(後編につづく)

#プロフィール
濱田章裕 Akihiro Hamada
精神科医、産業医、クリエイティブ・カウンセラー。
病院にて精神科臨床に携わりつつ、都内の大手企業にて専属産業医として、働く人の心と身体の病の予防に医学的なアプローチで積極的に関わる。クリエイターやアーティストの生活習慣や発想のプロセスに着目し、よりよい状態で創作活動を続けられるよう支援する活動「六本木未来大学クリエイティブ・カウンセリングルーム」も連載中。
CYPAR メディカルアドヴァイザー。
東京代官山ロータリークラブ所属。

今回ご紹介した商品


511 VENTAGLIO

1595 CONSOLE TABLE

LC7

528 INDOCHINE

BAOBAB FEATHER TOUAREG

FLOS KELVIN EDGE