WEB MAGAZINE2022.5

機能と美意識を追求する
イタリアブランドAlias #2


建築・アート・デザイン界が待ち望んだ復活
マリオ・ボッタの<SECONDA>

「もう椅子はいらない」
椅子をデザインしてほしいとAliasから依頼されたとき、デザイナーのマリオ・ボッタはそう思いました。しかしそれをきっかけに興味を持ち始めいくつか試してみたところ、多くのデザイナーや建築家が常々興味を掻き立てられている“椅子”という対象に、彼も同じように惹かれていったのです。


「実際、同じようなものがデザインされ続けています。人々が生活空間をデザインする上で、基本的なニーズは変わっていない。しかし、それは再スタートでもあり、白紙の状態からの新たな挑戦でもあると言えます。」

「椅子や住宅をデザインするということは、その時代のニーズや感性、希望を表現できるような、新しい謎めいたイメージを見つけること。だからこそ、私たちは常に日用品の新しいデザインを考え出し、新しい生活空間を探し求めるのです。 私たちのニーズは変わらない。目の前にある形と表現のチャンスは、いつも同じ。椅子でさえ、私たち自身の知識を再認識する機会であり、あらゆるデザインと同様に、私たちの悩みや疑問、希望に触れる機会なのだと思います。」


建築幾何学の典型的な形からインスピレーションを得た、名作チェアSECONDA(セコンダ)。もともと彼が設計した建築物のインテリアのためにデザインしたもので、イタリアンデザインのアイコンとして、現在ではAliasの代表的な製品の一つになっています。 フレームが描くライン、円柱形の背もたれ、パンチングシート。他にはないそのユニークさから、デザイン好きには垂涎の逸品となっています。

ボッタは同じ時期にふたつの椅子をデザインしました。PRIMAの2つの垂直な要素を伸ばし、肘掛けを追加することで小型のアームチェアSECONDAになります。この2つのチェアは、どちらも同じ幾何学的な基礎から生まれたものです。(※PRIMAは廃盤です)

シンプルで主要な形を好み、幾何学によってそのバランスをコントロールするボッタは、光や重力を利用したデザインや、建物や都市が持つ階層化された歴史をくみ取り、建築に倫理的な意味を付与しています。それはつまり、建築は単に美的なイメージではなく、良質な生活空間を提供することが目的であり、「よりよい生活空間をつくることでより良い生活の質を求めることができる」、という哲学に則ったものでした。深い洞察を経て完成したボッタの建築物は、他の建築家とは異なる独特で唯一無二の作品として評価されています。 日本で見られる建築はワタリウム美術館があり、御影石とコンクリートのストライプ模様の外壁と、街に大きく広げた鳥のように力強いデザインが印象的で、地域のランドマークとなっています。

Mario Botta
建築家マリオ・ボッタは、1943年にティチーノ州メンドリーシオに生まれます。ルガーノで修行したのちミラノの美術大学に入学し、その後ヴェネチアの大学建築研究所で学びます。カルロ・スカルパとジュゼッペ・マッツァリオルの指導のもと、1969年に専門職学位を取得。ヴェネチアでは、ル・コルビュジエやルイス・I・カーンらと出会い、仕事をする機会を得ます。世界中で重要な賞を受賞し、多くの展覧会で紹介されています。

Alias
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1979年に創業したイタリアのデザインブランド、Alias(アリアス)。
創業以来、イタリアデザイン界を代表する企業として、技術的な軽さ、多用途性、革新性を最優先の価値観としてものづくりを行っています。

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