WEB MAGAZINE2020.12

インテリアで叶える
Quality of Life 精神科医・産業医
濱田章裕 先生

2020年、誰もが未だかつて経験したことのないステイホーム期間を経て、家の中に対する意識が大きく変わりました。以前よりも家の中で過ごす時間が増え、毎日見て触れる家具やインテリアが与える影響の大きさを、多くの人が実感していることでしょう。

“Quality of Life(QOL)” とは、その人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念です。精神的な豊かさや満足度の指標は人それぞれ。自分のライフスタイルに合ったインテリアは、どう選べばいいのでしょうか。

アートと医学の関係性を研究する、精神科医であり企業の産業医も務める濱田章裕先生と、仕事や生活を楽しむ豊かな人生を実現するためのインテリアアドバイスを連載でお届けします。

- vol.1 - インテリアで切り替える
仕事モード・リラックスモード(後編)

vol.1 前編で仕事モードの空間づくりについて理解できたところで、今回は仕事以外のリラックスタイムの過ごし方について伺ってみました。上手にリラックスすることができれば、仕事モードの質も上がるはず。リビングはますます本質的な心地よさが求められる傾向にあります。

#4

SOFA

何と言っても、ソファはリビングの主役。以前よりも家で過ごす時間が増え、休日にソファで寝ころびテレビやスマートフォンを見ていたらあっという間に日が暮れていた、なんてこともあるでしょう。家で仕事をするようになった分、今まで以上にオフタイムにおけるソファの重要度が高まっています。

「休憩時間やオフタイムには仕事用のデスクからは離れ、座り心地がいい、安心感を得られるソファまたはラウンジチェアに座りましょう。一般的に座り心地の良さとは、陥没の深さよりも断面積の方が大きく関連していると言われています。と考えると、より身体が多く覆われる実感を得られやすいソファの方がリラックスには向いているのかもしれません。また、心理学的に人は母性に安らぎを感じる傾向があると言われていますので、着座時に身体が包み込まれるもの、流動性があるもの、人間の感触に似ているものなど、母性的なイメージのソファなら一層リラックスできるのでは、と思います。」

MARALUNGAソファは丸みのあるデザイン弾力のある柔らかな座り心地ハイバック時の包み込まれる感覚などにおいてリラックスの極みと言っても過言ではありませんハイバックのポジションでオットマンを併用して足を伸ばせばさらに効果を実感できそうです

#5

CURTAIN

仕事モードでも光や照明は重要な要素として挙げられていましたが、リラックスモード時はどのような状態が望ましいのでしょうか。

「休憩中は少しカーテンを閉めてみてもいいかもしれません完全に閉めるのではなくできればレースを用いて木漏れ日のような光や影を感じられる程度に。実際木漏れ日には緊張感や不安感疲労感を改善するなど心理的ストレス低減効果があるとされています

イタリア・ミラノのテキスタイルブランドDEDAR(デダール)のコレクションには、美しいレース生地やケースメント(厚地とレースの中間生地)が豊富に揃います。例えば粗目に編んだ生地であれば、意図的に木漏れ日のような影を作り出せるかもしれません。


ZOBEIDE FILCOUPE

フィルクーペという糸をカットする技法で柄を作っており、レース部分から漏れる光のコントラストがきれいです。


BRIGHTFALL

チェック柄のように織られた、トラッドな印象のレース生地。シンプルすぎず、ほどよく光を透過させます。


OSLO

ノルディックタッチなブークレテキスタイルの絡み織。軽やかな印象で、ウォッシャブルな難燃素材という機能的な面も。

#6

FIREPLACE

炎のゆらめきがリラックスにつながると耳にしたことがある人も多いと思います。これから一段と寒くなっていきますが、リビングで暖炉の炎を眺めながら・・・と想像しただけでなんだか疲れが取れそうな気がしてきます。

「火には身体を温めるという暖房効果だけでなく、コミュニケーションを促進する重要な要素として、また、心理・生理学的にも、リラックスしてネガティブな気分を感じなくさせるような効果もあるとされています。」

バイオエタノール暖炉Ecosmart Fire は、サトウキビ等の植物原料を蒸留加工したバイオエタノールを燃料とし、煙や煤を排出しないため煙突や換気設備を一切必要としません。「暖炉」と聞くと別荘やログハウスの大きな煙突を想像しがちですが、Ecosmart Fire は都会の邸宅、マンションにも設置可能な新しいタイプの暖炉。キャンプに行かずとも、本物の炎を自宅でも手軽に楽しむことができます。

今回のアドバイスを取り入れたコーディネート例

このほかにも濱田先生からは、「起床時にはカーテンを開ける/食事を1日3回規則正しい時間に摂る/緑を見ながら散歩する」といった、生体リズムを意識して過ごしてみる活動を勧められました。こういった人間らしい生活が日々心に豊かさを感じることにつながっている、そんな当たり前のことがいま改めて身に染みます。

濱田先生からのメッセージ

医師として日頃から従業員や患者さんに“できるだけ気分転換をするように” と助言する機会は多いのですが、「気分転換」という言葉を聞くと、我々はつい、「休憩」「息抜き」といったOFFの部分だけに着目してしまいがちです。ですが、ONとOFFの区別を明確にし、メリハリのある生活を目指すといった意味合いがその本質なのだと考えています。在宅勤務が主流となり、昼と夜、平日と休日などの境界が曖昧となった生活を余儀なくされている人が増えてきた今、意図的に気分転換をすることが、身体的精神的ストレスを溜め込まないためにも必要です。 今回の特集では、在宅勤務を主とした生活の中で、家具やインテリアをうまく使い分けることでどのようにして気分転換を図り、QOLの高い生活を目指していくか、というテーマのもと、いくつかの術を提案してみました。ニューノーマルの時代に向けて、感染症予防など基本的なことは押さえつつも、全てを模範通りにこなそうとするのではなく、少しずつ自分らしいライフスタイルを作り上げていきたいものです。 あなたの毎日に家具が寄り添い、日々がより豊かなものになるようにと願っています。

#プロフィール
濱田章裕 Akihiro Hamada
精神科医、産業医、クリエイティブ・カウンセラー。
病院にて精神科臨床に携わりつつ、都内の大手企業にて専属産業医として、働く人の心と身体の病の予防に医学的なアプローチで積極的に関わる。クリエイターやアーティストの生活習慣や発想のプロセスに着目し、よりよい状態で創作活動を続けられるよう支援する活動「六本木未来大学クリエイティブ・カウンセリングルーム」も連載中。
CYPAR メディカルアドヴァイザー。
東京代官山ロータリークラブ所属。

今回ご紹介した商品


Cassina
675 MARALUNGA

DEDAR
ZOBEIDE FILCOUPE

ECOSMART FIRE
IGLOO