“リジェネラティブ”を、
日常の空間体験に
廃材から、未来の資源循環社会を考える
大阪・関西万博 フューチャーライフヴィレッジ で行われた、「地球を救う未来のコンクリート“CCC”の展示プロジェクト※。
そこで来場者が出会ったのは、未来の建設材料CCC(Calcium Carbonate Concrete、炭酸カルシウムコンクリート)の可能性だけではありません。展示空間を構成する什器そのものもまた、リジェネラティブな技術の思想を“体験”に変える装置として設計されました。
カッシーナ・イクスシーは、清水建設とのコラボレーションをきっかけに、この挑戦へ参画しました。
※ NEDOムーンショット型研究開発事業「C4S研究開発プロジェクト」(PM:野口貴文・東京大学大学院工学研究科教授)による。
CCCの思想を、空間の言語にする
CCCは、大気中のCO₂と廃コンクリートと水のみを原料とする完全資源循環型の建材。つくればつくるほど大気中のCO2と建設廃棄物が減る未来のコンクリートです。
資源を無駄にしない循環型社会の先にあるのが、活動すればするほど環境や社会が豊かになるリジェネラティブな社会です。清水建設が大切にしたのは、技術の提示だけで終わらせず、今回の展示を通じて、リジェネラティブな未来の社会を描くこと。
「明るい未来を感じさせる」体験に落とし込み、暮らしの中で建築や家具が“地球をより良くする素材”でできている未来社会を示したい——。
その想いは、什器づくりにもまっすぐにつながっていきました。
「再生マテリアル」を“
提案できる言葉”へ
廃コンクリートから生まれるCCCと同じリジェネラティブな思想を、家具・什器にも通わせたい——その発想が、コラボレーションの背中を押しました。勉強会で再生マテリアルの取り組みを知った上で、「このチャンスにぜひ」と声がかかったことが、共創の出発点になっています。
◀︎清水建設 stream DEW 委員長 / 谷 泰人 氏
清水建設 stream DEWは、若手設計者約30名で組成されたチーム。今回の取り組みを通じて、資源循環のことを勉強し、「今後のプロジェクトにおいても提案に活かしたい」という思いで、部署部門を超えた若手メンバーを中心に議論と検証が行われました。カッシーナ・イクスシー側も営業・特注の若手が並走し、目線の近さが試作と判断を短いサイクルで回す原動力になりました。
素材の揺らぎと、
再生マテリアルならではのチャレンジ
再生アクリルと再生プラスチックによる天板では、コロナ渦のアクリルパーティションと、清水建設の現場や本社からの廃プラスチックを使用しました。製作に必要な廃材の量を自分たちで集めるところから行い、これまで意識していなかった廃棄物の物性や、一つの素材をつくるのに必要となる物量を体験を通じて知ることができました。
◀︎アクリルの中に含めた再生繊維たち。再生アクリルは乳白色とクリアの2種類製作された。
天板と組み合わされる木材も、清水建設東京木工場の廃材や端材を利用して作られました。素材の異なる再生マテリアルを組み合わせて作られた今回の什器は、清水建設とカッシーナ・イクスシー、建物と家具というジャンルを超えたモノづくりのコラボレーションによって実現しました。素材の特性に応じてミリ単位で精度管理を行い、天板と土台がぴったりと納まった時の手応えは、双方に残る経験になりました。
結果、限られた面積でも子どもから大人までが足を止め、会期中の反響へとつながっていきました。技術が「暮らし」へ降りてくる瞬間に、デザインが確かに介在したプロジェクトでした。
資源循環のその先へ。
リジェネラティブな日常をかたちに
万博という舞台は特別でしたが、そこで求められた課題は普遍的でした。本来廃棄されるはずの素材が、新しい価値をもった素材として生まれ変わり、生活の中で大切に使われていく。それが特別なことではなく、当たり前となることが、資源循環の先にあるリジェネラティブな社会の実現には不可欠です。限られた条件のなかで、素材の不確かさを引き受け、体験価値へと編み替える——その積み重ねが、ものづくりの現場に確かな解像度をもたらします。 今回のプロジェクトで得られた「試作の痕跡」や「デザインプロセス」もまた、未来に活かすべき知見として、大切につなげていきたいと思います。
「stream DEW」の活動は、清水建設 設計本部内の若手を中心に委員を任命し、若手設計者が自由かつ主体的に様々な活動を行う場として続いています。「stream DEW」には個人の創造性の発露(雫=DEW)が従業員相互の啓発・情報共有の源であり、それが大きな流れ(潮流=stream)となるという意味を込めています。
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