LA BECQUE Wataru Kumano
自然との調和を追求し、無駄のない洗練されたデザインが特徴の美しいチェア「LA BECQUE」が新たにixc.のコレクションに加わりました。デザインを手掛けたのは、国内外で活躍するプロダクトデザイナーの熊野氏。彼は、スイスのローザンヌ滞在時にレマン湖のほとりで目にしたヨットの美しい造形にインスピレーションを受け、このチェアを生み出しました。本インタビューでは、熊野氏に「LA BECQUE」の開発背景やデザインに込めたこだわり、さらに創造性の原点について詳しくお話を伺いました。
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CONCEPT & STORY
2021年にスイス・ローザンヌに長期滞在する機会がありました。滞在していた施設はレマン湖のほとりにあり、作業の合間に湖の雄大な景色を眺めていると、一隻のヨットが目の前に現れました。切り立ったスイスの山々と澄み切った湖面に浮かぶその白い人工物は、無駄のない造形とプロポーションで圧倒的な存在感だったことを今でも鮮明に覚えています。
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DESIGN ESSENCE
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INSPIRATION
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NEW INSIGHTS
Cassina Ixc. のプロダクトに一貫する普遍的なクオリティに協業という形で触れたことで感じた緊張感は徐々に同じ高みを目指す高揚感へと変化していきました。時間をかけて作り手との対話を重ね、妥協を許さないプロセスを経てたどりついた形は、素直で美しく、単体での力強さとさまざまなシーンに馴染む協調性を併せ持ち、インスピレーションからまた一段階上がったクオリティを表現しています。 今後は、このクリエイティビティの領域を環境面にも広げていき、新たな素材とも向き合っていきたいと考えています。
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ASPIRATIONS
これからはデザイナーが率先して環境面に一歩踏み込んだところで、プロダクト開発を進めていかなくてならない時代です。木材自体はサステイナブルな素材ではあるものの、塗料や接着剤などは、まだまだ追いつけていないのが現状ですので、そこも含めた価値観の構築に取り組んでいきたいと思っています。また林業との取り組みも重要なファクターで、森林大国である日本が今後ドメスティックな資材とどのように向き合っていくべきか、デザインという文脈を通して可能性を探っていきたいと思っています。
Wataru Kumano
プロダクトデザイナー。2001-08年にフィンランドへ留学、帰国後Jasper Morrison氏に師事。2011年にデザインオフィス“kumano”を設立し、環境、機能性、地域性など、背景のあるデザインをテーマにNIKARI、CAMPER、karimoku、天童木工などの国内外のメーカーとプロジェクトを手掛ける。2021年にスイスのローザンヌ州立美術学校(ECAL)にて教鞭をとり、同年秋より武蔵野美術大学准教授に就任。
https://watarukumano.jp/
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