AURAS × CASSINA IXC
「観る」「聴く」「座る」から考える、
ラグジュアリーな体験
最高のホームシアターをつくるために必要なのは、最高の映像機器やオーディオだけなのでしょうか。光、音、映像、インテリア。そして、その中心にいる人の身体。AURAS(オーラス)が東京・六本木にオープンした新たなショールーム「AURAS Residential Experience Center (AREC)」には、それらを個別の設備としてではなく、ひとつの「体験」として捉える思想があります。その空間に置かれているのが、Cassinaのソファ MARALUNGA〈マラルンガ〉です。なぜ、最先端の映像・音響環境に、時代を超えて愛されてきたこのソファが選ばれたのでしょうか。AURAS代表取締役・山岡 裕和氏の言葉を手がかりに、「観る」「聴く」「座る」という身体的な体験から、これからの住空間と現代におけるラグジュアリーについて考えます。
映画を見るための部屋から
暮らしを豊かにする場所へ
「ホームシアター」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、照明を落とした専用室に大きなスクリーンとスピーカーが並ぶ光景かもしれません。
もちろん、映画鑑賞に特化した空間もホームシアターのひとつです。しかし、AURASが考えるその姿は、決してひとつではありません。
映画の世界に深く没入するための場所。明るいリビングで家族と映像や音楽を楽しむ空間。ゲームやカラオケを通じて友人と時間を共有する場所。そこに暮らす人の趣味や家族構成、日々の過ごし方によって、求められる答えは変わっていきます。
「私たちが考えるのは、機器をどう置くかということよりも、その場所で何を体験したいのかということです」と山岡氏は話します。
つまりAURASの仕事は、決められた形式のホームシアターをつくることではありません。「その人が、そこでどのように過ごしたいのか」を見つめ、映像や音響、照明、インテリアを組み合わせながら、暮らしの風景としてかたちにしていくことにあります。
ARECのシアタールームも、映画を見るときだけ使われる閉じた空間ではありません。ひとりで音楽に耳を傾けることもあれば、家族と作品を楽しむこともあります。友人を招く日も、静かに身体を休める時間もあるでしょう。
ホームシアターとは、日常から切り離された「趣味の部屋」ではなく、ホームエンターテインメントを通じて暮らしを豊かにする住空間の一部です。その考え方が、ARECの根底に流れています。
音は、スピーカーだけではつくれない
「音は響きです。ですから、いい音とは環境なのだと思います」
山岡氏のこの言葉は、AURASの音づくりを端的に表しています。スピーカーが生み出した音は、空間の中を伝わり、壁や床、天井、窓、そして家具に触れます。その反射や吸収の仕方によって、私たちの耳に届く音は大きく変化します。
ARECでは、硬いガラス面をできる限り避け、壁面に絹を用いるなど、素材そのものを音響環境の一部として設計しています。視覚的な美しさを整えるための内装が、同時に音の響きをつくる要素にもなっているのです。
家具もまた、オーディオの外側にあるものではありません。素材や形状は空間の響きに影響し、その座り心地は音を受け取る人の感覚を左右します。
たとえ音響機器の性能が優れていても、窮屈な姿勢や落ち着かない空間で聴いていれば、その音を心から楽しむことは難しいでしょう。好きなインテリアに囲まれ、身体を安心して預けられる場所があってこそ、人は音に意識を開くことができます。光も同様です。照明を落とせば、家具の色や輪郭は次第に視界から遠のいていきます。
一方で、座面が身体を支える感覚や、空間を満たす音への感度は高まっていきます。いい音とは、機器の性能だけで完成するものではありません。建築、素材、光、家具、そして、そこにいる人の身体。そのすべてが調和して初めて生まれる体験なのです。
「座る」ことを忘れるためのソファ
ARECのシアタールームにおいて、音と映像を最も豊かに受け取れる位置。その中心に置かれたのがマラルンガでした。
ここで求められたのは、単なる観賞用のシートではありません。
前方の映像とスピーカーだけでなく、左右や背面、天井から届く音を全身で受け取れること。長時間にわたって作品を楽しめること。そして、映画館の座席とは異なる、住空間ならではの深いくつろぎが得られることです。
山岡氏がマラルンガに見いだしたのは、そうした条件をひとつのデザインの中で満たす柔軟さでした。
身体を包み込むようなクッションと、革がもつ柔らかさや適度な張り。さらに、背もたれを動かすことで、一人ひとりの体格や姿勢、そのときの過ごし方に合わせた調整ができます。
背もたれを高くすれば、頭まで預けてゆったりと映画を楽しめます。低くすれば身体の自由度が増し、後方から届く音もより自然に感じられます。同じデザインのソファでありながら、座る人それぞれに異なる快適さをもたらしてくれます。
家族の身長や体格が異なっていても、一人ひとりが自分に合った姿勢を見つけられること。それは、住空間の中で使われる家具にとって、非常に本質的な価値といえるでしょう。
そしてマラルンガの魅力について語るとき、山岡氏の言葉はさらに核心へと近づいていきます。
「リラックスすると、座っていること自体を考えなくて済むんです」
身体のどこかに負担や違和感があれば、人の意識はそこへ戻されます。しかし、身体が自然に支えられ、「座っている」という行為さえ意識しなくなったとき、人は初めて映像や音の世界に深く入り込むことができます。最高のソファとは、その存在を強く主張し続けるものではなく、座っていることさえ忘れさせてくれるものなのかもしれません。マラルンガがARECの中心に置かれた理由は、その先にある「没入する体験」にこそあります。
最先端であるほど、
存在を感じさせない
映画を見るために、いくつものリモコンを使い分ける。音楽を聴く前に複雑な設定を行う。コンテンツに合わせて照明やブラインド、空調を一つずつ調整する。そうした操作が増えるほど、体験へ至るまでの距離は長くなってしまいます。
AURASが目指すのは、ボタンを押したり機器を操作したりする行為を可能な限り減らし、テクノロジーを日常の裏側に収めることです。
◀︎照明や音響、映像、空調などの操作を、ひとつのインターフェースへ。住む人の習慣や過ごし方に合わせて、操作画面やスイッチのあり方まで細やかに設計できます。
その実現には、映像や音響、照明、ホームオートメーションを、建築が完成してから付け加えるのではなく、計画の初期段階から考える必要があります。
「家族構成や生活動線まで含め、住まい全体の中で考えることが重要です」と山岡氏は話します。
機器の配置だけでなく、人がどこから入り、どこに座り、どのように過ごすのかまで想像します。その積み重ねによって、テクノロジーは目立つ「機械」ではなく、建築やインテリアの延長として暮らしに溶け込んでいきます。
さらに山岡氏は、家具とプログラムによるオートメーションには、「付き合い方が似ている部分がある」と指摘します。優れた家具は、手入れを施しながら長く使い続けることで、暮らしや身体になじんでいきます。オートメーションも一度導入して終わるものではなく、子どもの成長や家族構成、生活習慣の変化に合わせて調整を重ねていくものです。
最新のテクノロジーと、長く受け継がれてきた家具。それらは対立するものではありません。いずれも人の行動と時間に寄り添い、使い手との関係の中で成熟していく存在なのです。
◀︎手をかけ、使い続けることで、暮らしになじんでいくマラルンガ。家具もテクノロジーも、時間とともに使い手との関係を深めていくという点で、どこか似ています。
ラグジュアリーとは
「意識しなくなる」こと
ラグジュアリーという言葉は、ときに価格や希少性、目に見える華やかさと結びつけられます。
しかし、AURASがつくる空間と、その中心にあるマラルンガから浮かび上がるのは、もうひとつのラグジュアリーの姿です。
山岡氏は、その感覚を「不満がなくなること」「気づかなくなること」「日常に溶け込んでいること」と表現します。
高性能なスピーカーが置かれていること。高精細な映像が映し出されていること。高度なオートメーションが機能していること。そして、マラルンガに座っていること。
その一つひとつを意識している間、私たちはまだ設備や製品そのものを見ています。
しかし、音響機器の存在を忘れて音楽に聴き入り、映像の精細さを忘れて物語へ没入し、操作していることも座っていることも忘れて、家族や友人との時間を楽しむ。そのとき初めて、個々の製品や技術はひとつの「体験」へと統合されます。
優れたものほど、人と体験の間に立ちはだかることなく、その存在を背景へと退かせていきます。それは、ものの価値が見えなくなるということではありません。むしろ緻密な設計と確かな品質があるからこそ、使う人はそれらを意識する必要から解放されるのです。
「観る」「聴く」「座る」。
それぞれを最高のものにすることだけが、ラグジュアリーなのではありません。
光も、音も、映像も、家具も、テクノロジーも、互いに主張し合うことなく、その場所で過ごす人に寄り添うこと。そして、その存在を意識しなくなったとき、人はようやく時間そのものに身を委ねることができます。
AURASが考えるホームシアターとは、映画を見るためだけの部屋ではありません。それは、人と空間、テクノロジーとインテリアがひとつにつながり、心から満たされる時間を生み出す場所です。現代の住空間におけるラグジュアリーとは、そうした体験を、特別な演出としてではなく、自然な日常として享受できることなのかもしれません。
AURAS(オーラス株式会社)は、高級住宅のスマートホーム、ホームオートメーション、ホームシアターを建築計画から設計・施工まで手がける専門会社。ラグジュアリー住宅専門のホームテクノロジーインテグレーターとして活動しており、映像、音響、光、それらをホームオートメーション技術で繋いだ、Luxuryな住空間の構築が可能です。「AURAS Residential Experience Center(AREC)」は、そんなLuxuryな住空間の完成図を体感することができるショールームスペースとして展開しています。
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