VOL.3 インタラクティブ・アーティスト 松尾高弘



インタビュー

10月31日からの新作展示会でインスタレーションを手掛けてくださった、
松尾 高弘さんにさまざまなお話を伺いました。

写真・今のお仕事を始められたきっかけを教えてください。

学生の頃はシステムエンジニアを志し、情報設計を学んでいました。
けれども、効果と利便性だけにフォーカスすることを、だんだんとつまらなく感じるようになり、デザインやアートに興味を持つようになったのです。
そこで、最初はまず、コンピューターの画面のなかでの「創作」を試みたのですが、やがて、それでもまだ物足りなく感じるようになりました。枠を超えて、「外へ」出たくなったのです。結果、自然な流れで、現在のように空間そのものをデザインするようになりました。




・松尾さんが「映像・空間」を演出される際、一番たいせつにされていることは何ですか。

光の表現によって、作品を体験する人の心をひきつけ、エモーショナルに訴えかけること。
空間とそれを体験する人のインタラクションを、いつも意識しています。
また、次々に登場する新しい技術を、表現やデザインに昇華するということも、常に心掛けていることのひとつです。



・プロジェクトの最初に何から考えますか?

コンセプトから入ることもありますし、新しい素材や技術からインスピレーションを得ることもあります。
ケースバイケースです。いずれの場合も、頭のなかやコンピューターの上でのプランニングをこえて、
音や光が実際の空間のなかでどのようにふるまうかを、最初につめてゆきます。
形のない光の作品なので、必ず試作や実験をやってから形にするようにしています。





写真・今までされたプロジェクトやお仕事で、一番思い出に残った企画をお聞きできますか。

苦労も喜びも殊のほか大きかったのは、イタリアのあるジュエリーブランドの回顧展の仕事です。
イタリアと日本という物理的な距離を越え、作品の細やかな質感や表現をデータだけで共有することが、とても難しいと知りました。
一方で、回顧展ということもあり、先方の歴史や文化に深く踏み込み、魅了されてゆく喜びは大きいものでした。


 

・今回のコンセプト、こだわり、アイデアなどについてお聞かせ下さい。

まずは、マラルンガの魅力をどのように伝えるか、生かすかを考えました。
いつもと異なる環境のなかで、普段のエントランススペースとは全く違う見え方を提示しながら、
マラルンガが非現実の情景の中に引き立つようなインスタレーションを考えました。
特にこだわったポイントは、水上にシンボリックに浮かびつつ、無数の光を浴びて佇むマラルンガの存在感です。
実際にマラルンガに座りながら作品鑑賞できるようにし、
視覚体験と、包まれるような身体感覚を同時に体験してもらいたいと思いました。



・今後の夢をお聞かせ下さい。

今までは主に、パブリックな場所で作品を発表してきましたが、
いずれは、インテリアとして、プライベートな場に馴染むような作品も手がけてみたいと思っています。
ラグジュアリーでアーティスティックな「特別な」インテリアです。



・松尾さんの思う「DESIGN YOUR LIFE」とはどういったことですか?

僕の作品の多くは、自然のふるまいや自然現象をモチーフにしています。
自然そのままではなく、技術を付加することで洗練され、カタチを変えた新しい「自然のエッセンス」です。
都会のインティメイトな暮らしのなかに「自然のエッセンス」を取り入れること。
そのことで、現代人の暮らしは、心地よく、より豊かになるのではないかと感じています。


現在“White Rain for Maralunga”は、インタラクションが楽しめるクリスマスバージョンとなっており、
12月27日(金)まで青山本店でご覧いただけます。





写真 松尾 高弘
インタラクティブ・アーティスト
1979年生まれ。九州芸術工科大学大学院芸術工学研究科修了。さまざまな創作活動を経て、2012年に(株)ルーセントデザイン設立。映像、照明、テクノロジー、インタラクションを空間で融合させる光のインスタレーションを制作。映像のみならず、プログラミングやシステムをも自ら手がけ、アート/デザインから技術までを一貫して「ひとつの作品」として結実させる。自然界の現象や法則性を取り入れたイマジネーション豊かな表現には定評があり、直感的な参加性によって、身体や感覚に訴えかけるエモーショナルな空間を得意とする。2007年より、世界的なメディアアートの祭典『ArsElectronica』にて作品常設展示。2009年、ミラノサローネ(イタリア)におけるキヤノン『NEOREAL』展にて、繊細なインタラクティブ映像を発表し、国際的に話題となる。2011年、ポーラミュージアムアネックス(銀座)、2012年、三菱地所アルティアム(福岡)にて、個展「LIGHT EMOTION」を開催。2012年、ブルガリ銀座タワー5周年記念 『イタリア 至高の輝き展』において、アーカイヴピースとのコラボレーションによる会場演出作品を制作。2013年、バーゼルワールド(スイス)におけるSEIKOショーウインドウの演出を制作し、世界各都市にて展開が決定。その他、幅広いクリエイションによって、世界各国の主要なメディアアートフェスティバルやエキシビジョンにて活躍している。
http://www.lucent-design.co.jp/

 

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