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HARIOの円錐形コーヒードリッパー「V60」。円錐形のため、注いだお湯がドリッパーの中心に向かって流れてコーヒーの粉に触れる時間が長くなり、コーヒーの成分をより多く抽出することができる。また、ドリッパーの底面の大きなひとつ穴からペーパーの先端が出る設計のため、お湯がドリッパーからの制限を受けることなく落ち、よりネルドリップに近い抽出ができる。

HARIOを愛用するバリスタに聞く、その魅力

カッシーナ・イクスシー青山本店で扱う、1921年創業の耐熱ガラスメーカー「HARIO(ハリオ)」の製品のなかには、コーヒー関連器具が充実しており、プロの愛用者も多い。例えば、世界のバリスタが技を競う世界大会「World Brewers Cup 2016」で優勝した粕谷哲さんも、愛用者のひとり。粕谷さんが「コーヒーファクトリー 守谷駅店」で毎日使用しているドリッパーやサーバー、スケールは、すべて「HARIO」の製品だ。そんな粕谷さんに、「HARIO」の製品の魅力を語ってもらった。

「世界大会に出たときは“誰もが真似できるやり方”をプレゼンのテーマとしたのですが、このテーマを掲げた背景には、2年前に南米のコーヒー農園を訪れたときの体験がありました。そこで知った生産者の努力や苦労に報いるためには、多くの人に美味しいコーヒーを飲んでもらうことがいちばんだと感じ、それには誰もが手軽に美味しくコーヒーを飲める方法をお伝えすることが大切だと考えたのです。そのためには大会で勝ち、自分が発言力をもつことが近道だと思い、チャンピオンを目指しました。そんな理由で世界大会に臨んだのですが、大会では見た目の印象も重視されるので、HARIOのスタイリッシュな美しさには助けられたと思います。HARIOは価格も手ごろで、お客さまも手に入れやすいので、『誰もが真似できるやり方』というテーマにも合っていますしね。

コーヒーを淹れる際は、私は感覚に頼らずに粉とお湯の量を計りながら淹れます。きちんと計ると一定のクオリティを保つことができますし、一般の人も真似しやすいですから。そのため、必須アイテムはHARIOのスケール。これはタイマーと一体型なので一台二役で、無駄が省けて重宝します。

ドリッパーに関しては、HARIOはコーヒーを抽出する速度をコントロールしやすいのが魅力です。HARIOのドリッパーは、粗挽きの粉は早く落ち、細かく挽いた粉はゆっくり落ちるので、狙い通りのスピードで落とすことができます。

HARIOの「V60」シリーズのサーバー。フタの上に「V60」ドリッパーをのせられる。オール耐熱ガラス製。電子レンジOK。2007年度グッドデザイン賞受賞。

少しコーヒーの粒度の話をしますと、コーヒーは粒度によって成分の溶け出すスピードが変わってきます。粗いと早く落ちるので溶け出す成分は少なく、細かいとゆっくり落ちるので溶け出す成分が多くなります。また、コーヒーの成分は、美味しい成分から抽出される性質があるので、この性質を利用し、粗挽きの粉を“美味しい成分のところまで”で打ち止めにすれば、不要な成分が溶け出してきません。しかしながら、この方法だと味が薄くなるので、粉の量は増やす必要があります。でも私は粉の量を増やすのではなく、注ぎ方の工夫で粗挽きのコーヒーをゆっくり落とし、おいしい成分だけを濃く抽出します。

具体的には、最初に注ぐお湯の量はコーヒーの粉の3倍とし、これを5回繰り返して抽出します。最初のお湯が落ちきったら、再び勢いよくお湯を注ぐのですが、そうするとドリッパーのなかで粉が撹拌され、濃く抽出できます。HARIOのドリッパーは、底面の穴が大きめなので、この淹れ方をしやすいですね。

皆さんもぜひ、HARIOのスケールの上にコーヒーサーバーをのせてドリッパーをセットし、粉の量とお湯の量を計りながらお試しください」

テイクアウトに人気のドリップバッグ。赤は「ファクトリーブレンド」、青は「もりやブレンド」。各1袋(1杯分)150円。オンラインショップでも購入可。http://coffeefactory.shop-pro.jp

粕谷さんが世界一のバリスタの座を獲得した「World Brewers Cup 2016」参加時の記念写真。世界各国から参加したバリスタに囲まれて。

粕谷 哲さん
コーヒーファクトリー 守谷駅店 マネージャー
2013年、茨城県つくば市の自家焙煎コーヒーショップ「コーヒーファクトリー」の守谷駅店オープン時に入社。「Japan Aeropress Championship 2015」優勝、「Japan Brewers Cup 2015」優勝、「World Brewers Cup 2016」優勝(アジア人初)。現在バリスタ歴4年目。

コーヒーファクトリー 守谷駅前店
茨城県守谷市中央2-18-3 関東鉄道改札横 関鉄ミニショップ内
tel.0297-38-6280
営11:00〜20:00(土・日・祝9:00〜18:00)不定休
http://coffeefactory.jp

Photos: Toru Yuasa
Words: Megumi Komatsu
Edit: Toshiaki Ishii


HARIO(ハリオ)
1921年に創業し、日本で唯一、国内工場を持つ耐熱ガラスメーカーです。 HARIO(ハリオ)とは、ガラスを意味する「玻璃(はり)」の王様=King of Glass から名付けられました。 近年、サードウェーブコーヒーの流れとともに、円すい形の「V60透過ドリッパー」が世界のバリスタに愛され、世界70ヶ国以上でコーヒー関連商品を展開しています。

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