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テーブルの中央に見えるのが「M’cook シチューパン 20cmステンレス」。デザインだけでなく、保温性に優れるため、煮込み料理をそのままテーブルにサーヴするのにぴったりだ。

プロの料理人とともに性能を磨いてきたクックウェア

カッシーナ・イクスシー青山本店ではギャラリースペースオープン記念展覧会「ARTETAVOLA(アルテタヴォラ)ー食卓の愉楽ー」の開催に伴い、アートとともに食にまつわるさまざまなプロダクトにスポットライトを当てている。1階にディスプレイされたホームファニシングもそのひとつで、キッチン&ダイニングを彩る選りすぐりの雑貨を世界中から取り揃えている。

例えば、「MAUVIEL(ムヴィエール)」社の鍋。ここはもともとフランスのノルマンディ地方にある鋳造工房の多い町で、教会の鐘をつくる工房だった。それが、豊かな食材を求めて買い付けに訪れるシェフたちに依頼され、銅鍋をつくり始めたのがクックウェアブランド「MAUVIEL」誕生のきっかけとなった。ノルマンディはパリから車で4〜6時間の距離にあるフランス北西部の港町を中心とする一帯。良質なバターとリンゴが有名なほか、海・川の魚介類、豚肉・羊肉など、食材の宝庫として知られ、ノルマンディの食材抜きにしてフランス料理は語れない、といわれるほどだ。そんな食に関心の高い地方で、「MAUVIEL」はシェフたちのリクエストに一つひとつ向き合いながら、その完成度を高めていった。サイズから取っ手の形状などの細部に至るまで、そこには1830年の創業から蓄積されてきたノウハウがしっかりと息づいている。

「MAUVIEL」の代名詞となっている銅鍋は、多くのプロや料理好きの間で根強く支持されているが、近年の価格高騰や職人の減少から、日本ではそれ自体を目にする機会が減ってしまった。けれども、ヨーロッパの家庭ではまだまだ一般的で、いくつもの銅鍋がキッチンに吊り下げられている光景は決して珍しくない。耐性があるので、きちんと手入れしていれば、十年、二十年と使い続けられ、次の世代に引き継ぐこともできる。ピカピカのブロンズ色が使い込むほどに風合いを増し、独特の質感へと変化していくのは他では味わえない楽しみだ。そしてなにより銅鍋の最大の魅力なのが、食材の旨味を引き出してくれる万能力。熱伝導率がよく、温度ムラができにくい。保温性や殺菌効果が高く、自然に銅を摂取できるなど、その利点は多岐に渡っている。全体に素早く熱を行き渡らせながらも鍋が熱くなり過ぎずじんわりと食材に熱を与えてくれるため、シチューなどの煮込み料理がとても美味しくできあがり、一度火にかけるとその熱を長時間キープしてくれる。銅イオンの効果で野菜が色鮮やかに茹で上がるのも特長のひとつだ。

「M’elite(エム・エリート) キャセロール 20cmステンレス」。「M’elite」はステンレスのボディに伝統技術のひとつであるハンマード(槌目)仕上げを施したシリーズ。プロの料理人たちからも厚い信頼が寄せられている。

手前の右から、「M’elite キャセロール 20cmステンレス」、「M’cook ソースパン 16cmステンレス」がふたつ。奥の右は「M’cook シチューパン 20cmステンレス」、左には「M’minis オーバルココット(フタ付き) コッパー」が並んでいる。

そんな「MAUVIEL」のクックウェアのなかで、プロ仕様としても家庭用としても使いやすいと評判を呼んでいるのが「M’cook(エム・クック)」シリーズだ。最近は銅鍋だけではなくステンレス製の鍋も人気が高く、こちらはあらゆる熱源に対応するのが大きなメリット。ステンレスとアルミの5層構造により、ラジエントヒーター、ハロゲンヒーター、電気ヒーター、IH、オーブン、洗浄機などでも使え、素早く均一に火が通るため、調理時間の短縮やエネルギーの節約にもなり、より効率的に調理できる。また、優れたデザイン性と品質はそのままに、ミニサイズになった「M’minis(エム・ミニズ)」シリーズも好評だ。小さくてもクオリティは変わらないから、オーブンでパンを焼いて、そのままアミューズとしてテーブルにサーヴする、といった場合などに重宝する。いずれもステンレスならではのすっきりとモダンな印象は、銅鍋とはまた違った魅力があり、現代のキッチンやテーブルに美しく映えるのもうれしい点だ。

古くは、モン・サン=ミッシェルの伝統的なオムレツをつくるのに使用されたり、豪華客船タイタニック号のキッチンで使われていたなど、数々の逸話をもつ「MAUVIEL」のクックウェア。約200年の歴史のなかで、一流の料理人の情熱と厳しい目によってアップデイトを重ねてきたその性能は、時代を超え、いまも世界中で愛され続けている。

Photos: Toru Yuasa
Edit: Toshiaki Ishii


MAUVIEL(ムヴィエール)
フランス・ノルマンディ地方にある鋳造工房の多い町に設立されたMAUVIEL(ムヴィエール)社。前身はフランスの教会の鐘をつくる工房でした。豊かな食材を買い付けに訪れるシェフの依頼を受けて鍋を作り始め、その品質の良さで評判を呼んだ結果、MAUVEIL創立に至ります。伝統的な技法を守りながら製造を続け、料理人の情熱に応えるその高い性能は、創業から約200年経った今も、世界中で愛され続けています。

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